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新年度になり日中は暖かくなりましたね。百日咳が全国的に増えており、当院でも過去1か月で3名の陽性者がでています(2025/4/11〜5/10)。
百日咳はその名のように咳が長びくのが特徴的な病気です。百日咳菌という細菌に感染して起こります。もともと乳幼児に多い病気でしたが、近年ではワクチン(四種混合または五種混合)接種のおかげで減っていて、最近ではむしろ大人や大きいお子さんにみられるようになっていました。
百日咳菌に感染してから症状が出るまでは約1~2週間の潜伏期があります。百日咳にかかっている人が咳やくしゃみをして空気中に百日咳菌が飛び散って、それを吸うことによって感染します(飛沫感染)。
子どもさんにみられる症状は特徴的で3期に分けられます。
【臨床症状】
① カタル期 初めの1~2週間は鼻水、微熱、乾いた咳といったカゼ症状がでます。この時期に百日咳菌は増えます。咳はだんだんと強くなります。
② 痙咳期
激しい咳が2~4週間続きます。顔を赤くして十数回たてつづけに咳込んだ後に、最後に息を吸い込むときにヒューと音がきこえます。咳は夜にひどく眠れず、咳込み嘔吐がみられることがあります。
③ 回復期
最後の2週間は徐々に咳は落ち着いてきます。
【年代別注意点】
①乳幼児
特に、生後3か月未満のお子さんではカタル期が短く、いきなり呼吸を止めて、とても怖い状態になることがあります。命にかかわることもあるので、入院する場合もあります。
②学童以上
一方、小学生以上のお子さんは軽症で経過することも多いです。咳は長
く続きますが、あまり激しい咳ではありません。熱もでないので病院には行かずに、百日咳にかかったとは知らず自然に治ることがあります。
【検査方法】
当院では鼻咽頭拭い液での核酸増幅法(LAMP法)を外注委託しています。従来の抗体価測定と異なり発症早期に診断が可能です。院内迅速抗原検査と異なりテクニカルな検査法で結果に時間を要すため、診断基準を満たす患者様に限り医師の判断のうえ検査を実施しています。
【治療】
マクロライド系抗菌薬が効きます。ただし、カタル期に開始した場合は症状が軽くなりますが、痙咳期に入るとあまり効きません。カタル期に百日咳と診断することが重要ですが、普通のかぜと同じ症状で早期診断が難しい疾患です。
【感染予防】
ワクチン(四種混合または五種混合)を受けて免疫をつけることです。生後2か月になると接種可能です。学童期以降は任意接種(自費)になりますが三種混合ワクチンの接種が可能です。6歳以降は百日咳菌に対する抗体価が低下すると言われており、三種混合ワクチンは有用な予防法です。